一瞬耳を疑った。
でも、その事実は冷静に受け止めなきゃいけなくて。
微かに震える指先をぎゅっと握り、急いで着替えてマンションの下に降りた。
「へっ、つ、翼早……」
「駆琉んとこ行くぞ。後ろ乗れ」
「なんかごめん……。ありがとう…」
「はぁー……強がんじゃねぇよ。見え見えだバーカ」
「うっ、うぅ……だって、っ…駆琉がっ…!病院って…」
不安で不安でどうしようもない。
大切な人が傷付くなんて信じたくないのにっ…!
頭を抱え込んで、ボロボロ溢れる涙を隠した。
「大丈夫だ。アイツが死ぬはずねぇだろ。なっ?」
「ほっ、ほんと…?信じて…っ、良い?」
「あぁ、信じろ。俺は駆琉の幼なじみだから信頼性高いぞ」
そう言って笑う翼早に少し安心……。
翼早のバイクの後ろに乗って来た大きな24時間病棟。
暗がりに佇む大病院は、あたしの不安を煽るものでしかなかった。
少し悴み恐怖で震える手。
ただ、黙って翼早の背中に着いて行くとボロボロの慧、洸、咏斗。
傷だらけ………。
「想乃……。話は後でする。まずは、カケルンに会って来て…」
「う、うん…」
慧に優しく背中を押されて、恐る恐る病室のドアを開けた。

