今回のケンカのせいで口切れた……。
俺、案外痛みとかそんな強い方じゃねぇからケガは避けたかったんだけど……
「最悪だ…口ん中切れた…」
「僕も!唇から血止まんない!鉄の味する〜……」
「でもさ!口殴られた傷って、勲章っぽくてちょっとカッコ良くない!?ね、洸!」
「慧の気持ち分かるー!!」
色違いでおんなじピアスつけてるぐらい仲良いコイツら。
ちょっとズレてて分かんねー……。
水道でひたすら、うがいする翼早の横で俺はボーッと慧と洸のやり取りを見てた。
それから、大勢で押し掛けられることはなくなった。
たまに道端で2、3人にケンカ売られても一人で処理出来る。
いつもの空き教室で翼早と二人。
慧と洸は珍しく授業に出てるらしい。
「駆琉さ、まだ夏紀さんといんの?」
「夏紀といるけど……ヤって終わり」
「でも夏紀さんとこ帰ってんだろ?」
「まぁな。実家帰っても、親うるせーし」
「駆琉の父ちゃん社長だもんな」
翼早に小さく頷いて、ソファーに仰向けに寝た。
デカイケンカ終わったあとって現実的になって嫌いだ。
寝よ……。

