そんな想乃だけど、やっぱどっか元気なくて。
コイツらしくない。
俺は計算を解く手を止めて、想乃の背中に手を回した。
「どっか出掛けるか?」
「どこ行くのー?」
「莉子とか慧誘って海」
「うーん……」
…こんな時に、遊ぶ気にもなんねぇよな。
今はこのままにしとくか。
相当、想乃に対してのダメージがデカイせいか1週間経っても変わる様子ナシ。
むしろ、どこにも出掛けねぇ。
いっつも俺の部屋で漫画読んでるか、果菜と喋ってるか。
「想乃。お前少し外出ろ」
「なんでー?暑いだけだもん…」
「デブ。太るぞ」
「え!駆琉は、あたしが太ったら嫌いになっちゃうの?」
「嫌いに、は……なんねぇけどさー…」
「それなら良いもーん♪」
バフっと俺に抱きついて、回した手にぎゅっと力を入れる。
マジで想乃ってズルいヤツー……。
俺がお前のこと“嫌い”って、言えるわけねぇだろ。
でも、いい加減気分転換させてぇな。

