駆琉は何も話さないままバイクに乗った。
そして、特に会話もなく連れて来られたのは駆琉のお家。
「どうして…駆琉のお家?」
「今晩、翼早達と用事入ってっから。お前のこと一人にする」
「…うん?」
「俺んちにいたら嫌でも一人になれねぇから寂しくねぇじゃん」
くしゃっと頭を撫でられた。
あたしが寂しくないように………
視界がボヤけてポロポロ溢れる冷たい涙。
鼻がツーンとして痛い……。
「うっ、ふぇ、っ…」
「泣くなって!俺が守ってやるからな」
「う、うん……駆琉に守ってもらう…」
駆琉のお部屋のベッドの隅っこ。
優しく背中を摩ってくれて、溢れ出る涙を指先で拭ってくれる。
泣き虫なあたしを責めたりしないの。
「泣き止むまで側にいてやる…」
「駆琉っ…、ひっく、うっ〜…」
「あ、ちょ、お前鼻水。はい、かんで」
「ん、んーっ!!」
寂しさは、いつの間にか優しさで溶かされていく。
駆琉がいてくれるおかげで、あたしは寂しくなんかない。
心強い。

