そっと小さく触れた唇。


これがあたしの精一杯。


離そうとすると、グイッと後頭部を押さえられた。


まだ解放してくれないみたい………。



唇が離れると、満足そうに微笑む駆琉。


「ヘタクソ」

「自覚してるもん!駆琉みたいに慣れてないし…」

「俺も想乃とは慣れてねぇよ」

「えっ?」

「緊張する。好きなヤツ相手だし」


ぶわっと頬が熱くなる。


駆琉が素直過ぎるよ…!


熱で人間性までどうかしちゃった!?



クツクツ笑いながら、気だるそうに起き上がる。


そして今度は駆琉からの短いキス。


「なんか元気になってきた」

「まだ、ならなくていいよ!」

「は?だって今、俺らこの家に二人っきりじゃん」

「そうだね」


罰が悪そうに舌打ちをした。


で、その瞬間に反転するあたしの視界。


猛獣がお腹に乗っかった。


「大人しく従って優しく食われるか、暴れて雑に食われんの……どっちがいい?」

「あぅー……優しくお願いします…」

「任せとけ」



今の猛獣はとっても危険です。