つーか、もう放課後?


時間過ぎんの早くね?


溜まり場にある時計を見上げれば、まだ12時半。


コイツら想乃に言ったな……。


「想乃。俺は大丈夫だから授業戻れ」

「はいはい。強がり言わないの」

「翼早……お前…」

「文句は治ってから聞く。想乃に看病してもらえ」

「お大事に!駆琉さん」


カッコわりぃ………。



具合悪過ぎてバイクになんて乗れるわけない。


俺一人なら良いけど、今日は想乃もいる。


もし事故なんて起こしたら最悪だ。


だからバイクは学校に停めっぱなしにした。



「駆琉!大丈夫なの…?」

「風邪ぐらいで死なねぇから。んな泣きそうな顔すんな」

「でも……おでこ熱いよ…」


俺の額に、自分の額をくっつける。


うわ、可愛い。


襲う気力ねぇけど。


「お粥でも食べる?」

「なんも食いたくねぇ……」

「そっか…。コンビニでも行ってなんか買って来ようか?」

「行くな…」


小さな手を握った。


今、無償に想乃にいてほしい。