流れてゆく人混みを横目で見ながら、洸の言葉ひとつひとつを聞いた。


「あのタトゥー……中学ん時の元カノとペアで入れたんだって」

「もしかして……その元カノの名前って咲季さん?」

「知ってるんだ?最近、また駆琉にくっついてるからね」

「そう、なんだ……」

「まぁ、タトゥー入れてすぐに別れたけどねっ」


それにしてもやっぱり………


傷付かないわけじゃないから……。


タトゥーは時間が経って消えるモノではないしね。


でも、過去を責めたってダメでしょ?



「想乃は傷付かないの?」

「うーん…でもね!あたしは、受け入れるよ。駆琉のこと好きだもん!」


洸のびっくりした顔付き。


でも、すぐにふわっと笑ってあたしの頭を撫でた。


優しい手に、ドキッと胸が小さく鳴る。


「想乃は優しいね。心が広いっつーか……駆琉にはもったいない」

「そ、そんなことないよ!むしろ、その逆で……。あたしに駆琉はもったいない!」

「そうかな?もし、駆琉が嫌になったら僕んとこ逃げておいで」

「洸…?」

「僕は絶対に悲しませない自信ある。女の子の泣き顔は大嫌いだからさっ」


優しく微笑み、ケラケラ笑う。


洸って、本気なのか嘘なのか分からない……。



でも、優しいことに変わりはないね!