空が薄暗くなってきた頃。
あたしと洸は駅に向かって歩いてた。
そこで、ふと気付いたこと。
聞いて良いのか分からない。
でも、きっとずっと一緒にいる洸なら知ってるはず………。
「どしたの?想乃?」
「あのねっ、洸……」
駆琉の背中にある翼と一輪の薔薇のタトゥーの秘密を。
「聞きたいことあるんだけど良いかな?」
「うん。別に良いけど?」
「駆琉の背中のタトゥー…知ってる?ノリで入れたって言ってたけど、嘘っぽくてさ……」
「……言わないよ」
「えっ?」
「だって、僕は想乃の悲しい顔見たくないもん」
そんなの………
自分が傷付くことぐらい分かってる。
ただ、これからずっと一緒にいたいから駆琉のこと知りたいだけなの。
「いいの、あたしは……。大丈夫だから教えて?洸」
「傷付いても知らないからね?」
「うん。大丈夫だよ!」
電車を待つ、駅のホームの冷たいベンチ。
そこに二人で座った。
あたしが初めて知ることになる駆琉の過去を聞くために。

