猛獣な俺様の溺愛




マフラーで顔半分まで隠す想乃の手を握って、家まで送ってやる。


今日は金曜じゃねぇし、いつケンカが起こるか分かんねぇから泊まれないけど。



想乃と歩いてると、向かい側からスラっとした女が歩いて来た。


茶髪の長いストレートヘアに、真っ赤な口紅とハイヒール。


あぁ……


まさか、こんなとこで会うなんて。


「あら…?もしかして……駆琉?」

「…久しぶりだな、咲季(サキ)」

「えっ…。だ、誰!?」


動揺して焦る想乃とは真逆で、落ち着いてる俺ら。



咲季は俺が中学の時に付き合ってた彼女。


元カノってヤツ。


中学ん時の捻くれてた俺が、まともに付き合ったのは咲季ぐらい。


初めて、ずっと一緒にいるかも…って感じたヤツ。


「あははっ!駆琉〜また背伸びた?」

「まぁな。成長期真っ只中」

「中学の時も、全く同じこと言ってたわよねっ!」

「そうだっけ?」

「うん。私よーく覚えてるっ!」


この3人でいると、かなり気まずい雰囲気だけど………


想乃にはちゃんと“友達”って説明しとく。