何を話したかは覚えてない。


ただ傷だらけの駆琉が痛々しくて、目を逸らしたのを覚えてる。


やっぱり、あたしは何も知らな過ぎだよ……。



「おい、アホチビ。何ボケっとしてんだよ」

「ひゃっ!?駆琉……」

「帰る。…お前とろくさいんだよ。手、貸せ」


気付けば放課後。


珍しく駆琉が、あたしの教室まで迎えに来てくれた。


…手まで繋いでくれたし…!


「なぁ、想乃」

「んっ?」

「お前、俺のこと大好きだろ」

「はっ、はい!?いきなり、何を言い出すの……」

「やっぱりな。で?お前の言うこと聞いてやっても良いけど」


通常通り上から目線。


でも、傷だらけの顔で優しく笑った。



そうだよ。


あたしは自分でも驚くほど駆琉が好き。


たった一つの言うことを聞いてほしいの……。


「心配だから帰って来て!そのっ…連絡の一つでもちょうだいよ!」


余裕の笑みをあたしに見せて言った。


「気が向いたら…なっ?」