寒い中若干早歩きで体育館まで行けば、息を潜めてた慧と洸。
11月の夜に学ラン1枚の俺は絶対間違ってた……。
パーカーでも着れば良かった…。
「はははっ!カケルン大丈夫ー?寒そう!」
「寒そうじゃなくて、めちゃくちゃ寒いっつーのアホ」
「しょーがないなぁー。俺のパーカー貸してあーげるっ♪」
「いや、断る」
「ひっどーい!!」
慧が着てるピンクのパーカーとおんなじの莉子も着てたし……。
つーか、寒いの嫌だから早くケンカしてトップ潰して帰りてー……。
「もう限界だわ。潰すぞ」
「ええっ!早過ぎー!もっと前置き長くしよーよっ!」
「前置きいらねー。洸一人でやってろ」
「はぁー……ウチのトップはわがままだからな。行くぞ」
先頭にいる俺の後ろを翼早が着いて来る。
体育館のドアを蹴っ飛ばして、中に入れば何十人単位のヤンキー集団とギャルっぽい女数人。
タバコ臭い金髪モヒカンが気だるそうに話しかけてきた。
「誰だぁ?お前」
「分かんねぇの?」
「クソ生意気だなぁ…潰すぞコラ!!」
「大河駆琉」
ほら、やっぱり。
名前を言えばすぐに静まり返る。

