【駆琉side】
「…くっ…!!」
「上等とか言ったくせに、くたばんの早過ぎんだろ…使えねぇ」
顔は殴り過ぎて腫れてる。
声も出せないほどらしく、地面に倒れたまま動かない。
廃れた路地裏でケンカしてると、翼早が後ろから声をかけてくる。
「おい、駆琉。もう、その辺にしとけ」
「うっせー。文句あんなら着いて来んな」
「お前なー……限度って知ってるか?限度知らねぇから着いて来てんだろ」
「頼んでねぇし」
「そーですか」
完全な自暴自棄だ。
テキトーに強そうなヤツにケンカ吹っ掛けて、ボコボコにして満足する。
ケンカ売られた時の方が、やりがいはあるけど。
売られない時は、ひたすら売るのみ。
「そんなことしてる暇あんなら…」
「分かってる。…それ以上言うな」
俺だって………
想乃に会いたい。
でも今更、合わせる顔がねぇ。

