猛獣な俺様の溺愛




こんな最低で最悪な女に何言ったって無駄だよな……。


夏紀から手を離して、咄嗟に後ろにいた制服着た男を殴った。


いつもなら殴るだけで気が済む。


なのに………



殴っても、殴っても、蹴り飛ばしても気が治まんない。



いつの間にか、慧と洸が来てて4人で男達を殴る蹴るの繰り返し。


もう最後の一人を翼早が殴ってた時。


俺は倒れてる想乃に駆け寄って、ゆっくり体を起こした。


殴られた傷だ……血出てる…。


「……っ…んっ…か、駆琉」

「想乃……」

「駆琉だ……怖かった…っ…」


ぎゅっと俺に抱きついてくれる。


俺、想乃のこと助けられなかったんだぜ?


なのに俺のこと責めないとか………


罪悪感。


「ほんとに……ごめんな…」

「…うん…。謝らないで…」



抱きしめてた想乃の力が抜けるように重たくなった。


疲れきったのか、安心した顔で寝息を立てる。


「ごめん……」


寝てる想乃に届くはずない気持ちを浮かべて、学ラン掛けてやった。


軽過ぎる想乃を背負って、呆然と突っ立ってる夏紀の横を通る。


「次、こんなことしたら……分かるよな?」


血の気の引いた顔をした夏紀は走ってその場から逃げた。



俺は結局、お前のこと守れてない。


一番守りたい存在を守れないとか彼氏失格だな……。