「そんなに本気なら、名前くらい教えてくれても良くないかな?俺が調べてやるのに」



素性、と付け足した正宗の笑みが怖い。


つか、ミリの素性なんか調べなくてもいいんだよ!


そんな探るような真似したくねぇし。
俺はミリの事信じてませんって言ってるようなもんじゃねーか。





「正宗、やめろよ」


「やめるもなにも。顔も名前も知らないからね」



クスリ笑う正宗に悪びれた様子はない。
これが普通。これが正宗なんだ。






それにはもう何も言わなくて、はぁと肩を竦めて溜息を吐いた。




「…まぁ、何かあったら言ってよ。情報くらいならなんとかできるし」



「…あぁ。“もしも”の時は頼む…けど、今、彼女の事探ったりすんなよ」



それに正宗は何も言わず、パソコンへと目を再び向けた。










…この時にミリの事を知っていたら、何か変わったのかもしれないのに、な。