「行くぞ」
「あ、うん」
そのまま颯人に着いて下に降りて来たはいいけど…
この目の前のイカツイバイク見て思う。
私、颯人のバイクの後ろになんか乗ったことない。
え、どうしよう。
タクのバイクには乗った事あるけど…あれ?
乗り方あんまりよく覚えてないんですけど…
ちょっと待って。
「乗れないのか?」
「のっ乗れるし!」
バイクの前でボケッと突っ立てる私はその声で慌てて颯人のバイクの後ろに飛び乗る。
それはもう、乗り方なんて覚えてないから不恰好だったと思う。
でも颯人はそんな私を見ても何も言う事なく、運転席に座った。
「ちゃんと掴まっとけよ」
その言葉を合図に颯人のバイクの低いエンジンが倉庫に響く。
私は颯人のお腹に両腕を回して、この寒いのにバイクなんだって事に今更気づいたけど、もうバイクは走り出していた。


