乱華Ⅱ




黒髪に金のメッシュ。
長身の男と縁石に座る私とは距離があったけど、その射るような目は私をしっかりと捉えていた。



「…なんだ颯人か」


「なんだってなんだよ」



フッと笑って私の隣に腰を下ろした颯人は、タバコを口に咥えて火をつけた。




寒空に登る紫煙と私の白い息。
ひゅーひゅーと私たちの間を抜けて行くのは冷たい風。



「ねぇ、颯人も徹夜明けだったりするの?」



そういえば昨日いなかったし。
今日朝会った修は寝てないって言ってたし。



…修が女の子といて徹夜したんじゃない事くらい本当はわかってる。


陽炎の事でいろいろと警戒してるんだって事。






だけど彼らはそんな事は口にしない。




「いや…家に帰ってた」


「家?」


「あぁ。ちょっとした野暮用な」


「…ふーん」