乱華Ⅱ





「…ごめん。しんみりするつもりはなかった。なんか両親の話してから、少しおかしいね私…」



あははと誤魔化す様に笑った声が弱々しくて、この部屋がより低い温度になった気がした。




カタと自分の座るソファーから立ち上がる。




「…ごめん。ちょっと…お風呂借りる」


「…あぁ。服テキトーに使えよ」


「…うん」



普段ならこんな時に風呂なんか入ってんじゃねーよくらい言うだろうタクも、何も言わずに承諾してくれた。





…ダメだ。私。
彼らに近づけば近づく程弱くなって行く気がする…


弱い私は消したハズ。



リビングのドアに手をかけた時





「心。弱くてもいい。言えることは何でも口に出せ。俺たちが聞くから」



真っ直ぐ私を射る漆黒の瞳。
颯人はジと私の心を探るかのように、目の奥を覗いている。





「……ありがと」


これ以上弱くはなれない。とドアノブを回してこの場を離れた。






パタンと閉じた洗面所のドアに凭れかかって


お風呂から上がる頃にはいつもの私に戻るから…




―今は…今だけはこの弱い私を赦して。