「…ごめん。しんみりするつもりはなかった。なんか両親の話してから、少しおかしいね私…」
あははと誤魔化す様に笑った声が弱々しくて、この部屋がより低い温度になった気がした。
カタと自分の座るソファーから立ち上がる。
「…ごめん。ちょっと…お風呂借りる」
「…あぁ。服テキトーに使えよ」
「…うん」
普段ならこんな時に風呂なんか入ってんじゃねーよくらい言うだろうタクも、何も言わずに承諾してくれた。
…ダメだ。私。
彼らに近づけば近づく程弱くなって行く気がする…
弱い私は消したハズ。
リビングのドアに手をかけた時
「心。弱くてもいい。言えることは何でも口に出せ。俺たちが聞くから」
真っ直ぐ私を射る漆黒の瞳。
颯人はジと私の心を探るかのように、目の奥を覗いている。
「……ありがと」
これ以上弱くはなれない。とドアノブを回してこの場を離れた。
パタンと閉じた洗面所のドアに凭れかかって
お風呂から上がる頃にはいつもの私に戻るから…
―今は…今だけはこの弱い私を赦して。


