あの日私はある意味生まれ変わった。
今までの私を消して、新しい私になった。
だから、今こうして笑ってられる?
「おい」
ガヤガヤと煩いこの空間。
ぼーっと目の前のビールを眺めながら、思考をトリップさせていた私に頭上からかかる声。
隣の修はいつの間にか颯人と飲み比べとかしてるし。
お前が記憶なくすなよって話だよ。
…まぁ2人とも至って普通そうですけど。
私はそこから声を落とす人物…タクへと目を向けた。
「何?」
「何?じゃなくて。お前食ってる?」
「…食べてるよ」
あんたら程じゃないけどね。
つかもうお腹いっぱいですけどね。
なんならこの残り食べてくれませんかね?
私の心中など気づくはずもないタクは、私が座るソファーの背に立ち、カチッとジッポでタバコに火を着ける。
「…ならいーけどよ」
スゥと息を吸って、白い煙とともに言葉を紡ぐ。
その目は言葉と裏腹に“もっと食え”と言っている。
…颯人といい、どんだけ太らせようとしてんの。こいつら。


