はぁ、と一息つく間もなくどんどん仕事を言い渡される。
「これ、一番テーブル!」
「……了解っ!」
そして若干筋肉痛になりかけている手でお盆を持ち上げた。
くるっと振り返って歩き出そうとすると…。
「あれ、莉子ちゃん。お疲れー」
「は、葉月くんっ!」
執事姿の葉月くんと出くわした。
今日、何度かすれ違ったり見かけたりしているけど、執事姿の葉月くんを真正面で見るのは初めて。
………か、かっこいい。
思わずぼうっと見とれてしまう。
「すんごい人ヤバいね。……なんか色々大丈夫?そのナンパ…とか?」
葉月くんだって忙しいのに、私に気遣ってくれるなんて…!
もう素敵すぎだ。
葉月くんの笑顔と、似合いすぎている執事服の効果もあり、今まで溜まった疲れなんて吹き飛んでしまった。
「全然大丈夫!お互い頑張ろうね!」
「そっか。疲れてっかと思うけど、がんばろーな」
にっこりと葉月くんの言葉に大きく頷く。
思わずにやけてしまう顔を抑え、もう一度笑って客席へとと向かった。
………やっぱり大好き。