「………」








何も言葉が出なくて、ただ泣かないように沈黙を突き通していた。









でも祐のお父さんは口を開く。








「祐が事故に合った理由…聞いたかい?」








ただ私は首を振って否定を示す。










「祐はね、学校に行く途中事故に遭いそうになった女の子を庇って、自分がトラックと衝突したんだ。…打ち所が悪かったんだ」










でも私はそんな息子を誇りに思えるな。そう続けた祐のお父さんに思わず顔を上げた。













「祐は……祐は、もう二度と目を覚まさないんですよね?なのに、何で、誇らしいなんて思えるんですか…?何で、祐を怒らないんですか?何で、祐に助けられた女の子を責めないんですか…?」











私は、祐の行動を誇らしいなんて思えない。












祐が目を覚まさなくなったのに、誇らしいも何もない。













そう私は思って、酷いことを言ってしまったのに…。












「親として、本当に誇りに思えるよ。確かにもう祐は今の医療技術では目を覚まさないだろうね。でも、それでも。自分の息子が命を懸けてまで行った行為を否定はしたくないんだよ。もしも否定してしまったら、祐が何のために事故に遭ったのか分からなくなってしまう。せめて少しでも祐が安らかに眠れるのなら、例え辛くても誇らしく思うよ」











この人は、凄い。









私は我慢してた涙をついにボロボロと流してしまった。










…本当は、祐のお父さんだって私と同じ気持ちなのかもしれない。









でも、祐の為に。











私は自分を少しでも傷つけないようにと、祐の行動を否定しかしてなった。









誰かを責めることで、自分の傷を癒してただけなのに。










もう既に傷でボロボロの私に、一つや二つの傷なんてもう変わらないじゃないか。