「相手に関して、とやかく言うことはしない。妻のように、名家の令嬢じゃないといけないわけでもない。お前がいいという相手なら、その者と今すぐに結婚しても構わないくらいだ」
「また、高校生だよ」
「来年、18だ。法律では、結婚が可能だ」
大らかというか、何というか――これで巨大グループを率いているのだから、人は見た目ではわからない。
それに一部からは、会長ではなく総帥と呼ばれている。
更に、経営の面での能力がずば抜けて高く、下手に敵に回すより味方になってもらった方がいいとされている。
ある意味、最悪最強の人物。
しかし和人にとっては、良き父親。
「好みの者は、いないのか?」
「好み……ね」
和人は、曖昧な言い方しかできない。
といって、恋人と作ることに興味がないわけでもない。
相思相愛で結婚したからだろう、和人の両親はとても仲がいい。
それに恋人気分が抜けきっていないらしく、熱々の夫婦だ。
現に今日も、妻の着物姿を褒めている現場を目撃している。

