私は岳が初めての彼だった。

だから皆みたいに、一緒に登下校して、どこかに寄り道して、休みの日はデートして、と思い描いていた。

だけどそんなのは妄想にすぎなかった。

楽しみにしていた夏休みも、岳はサッカー部が忙しいらしく毎日練習で、休みの日は疲れて寝ているか、友だちと遊んでいるか。

だけどそんなのはどうでも良かった。

部活が大好きな岳が私は好きだし、休みの日に友だちと遊んで、リフレッシュしてほしいと心から思っていたから。



でも夏休みの最終日に、親友2人から、岳が女の子と遊んでいる、という連絡が入った時には、さすがに心が折れた。

親友2人が、それとなく聞いてくれた情報によると。

私は付き合っていることは、親友の2人にしか教えるなと、岳に言われていたから二人いがいには、私と岳のことは誰にも教えていなかった。

だから相手の女の子は、私の存在はまったく知らずに遊んでいたらしい。

その女の子が、今私の後ろで岳と話して
いる、麗花ちゃん。

とても可愛らしい女の子で、岳とは中学生のころから一緒で、女子の中で数少ない岳の理解者だった。