もうすぐ文化祭シーズンって
誰もがはしゃぐ、この季節。

気温も心地いいぐらいに下がり、これからやってくる文化祭というイベントに、浮足だっている皆。


そのなかの一人がこの私。


高校2年生の私、篠原 美優(しのはら みゆう)は来年控える大学受験の前に、友だちとの思い出を増やすべく、この文化祭は多いに楽しむと決めている。


「美優! そこのガムテープとってー!」

『んーと。あっ、あった! はいよ、彩乃(あやの)!』

「センキュー!」


そして今はその文化祭の準備中。

半日授業が潰れてラッキーだし、みんなで準備なんて、ホント青春って感じで、すっごく楽しい。

「美優、また佐野(さの)くん麗花(れいか)とイチャついてるけど、とめなくていいわけ!?」

「なんであんなに、くっついていられるわけ。目の前に美優がいるのに!」

クラスの看板を、さっき渡したガムテープで補強をしていた、親友の彩乃とその手伝いをしていた椎奈(しいな)が、手をとめてイライラした様子で話しかけてきた。

『あー。まあいつもの事だから。』



私はせっかく楽しい気分を、台無しにしてくれる風景が、私の後ろで繰り広げられていることが、見なくてもわかっていたから、振り返らずに答えた。

そんな私に椎奈は何も言わず、「ちゃっちゃと終わらして、クレープ食べに行こっ!」と言ってくれた。

私もうなずいて自分の作業を再開した。