あの頃の君へ



冗談めいてそう言ったのに、ふっと拓真は真剣な表情になった。



「みのりさぁ……」



「ん?」



「何かあった?」



本当にコイツには敵わない。



友達と喧嘩した日、バイトでミスしてしまった日、無理して笑顔を浮かべる私にいつも気付いてくれるのは拓真だけだった。



普段は憎まれ口を叩くくせに、私の本心を簡単に涼やかな顔して見抜いてしまう。



「昨日ね、私、雨の中歩いてたじゃん?」



「あぁ」



「その前に振られたんだー。へへ」



もう全然ショックじゃないから、少しでも笑い話になるように言う。



「…………。」