恋愛事案は内密に

「さ、行きましょっか」

観光地にもなっているこの地域をゆっくり歩くなんてなかった。

大和と会うときはいつも夕方か夜しかなくて、バーかホテルかをいったりきたりするぐらいで、お日様にあたりながらいろんなところをめぐることはなかった。

おやつに中華まんを頬張ったり、かわいい雑貨屋さんをめぐったり、海をのぞむ公園へいったりした。

こんなに異性と笑い合ったのは思い出せないくらいだ。

日は傾き、そろそろ夕食でもどうですか、と所長が言うので駅近くの商業施設内の上階にあるレストランに立ち寄った。

明るい店内なのに、この店は薄暗い店内のおかげで、近くにある観覧車や遠くに望む建物や海、ライトアップされた橋がきれいに見られる。

この場所は大和と何度か立ち寄ったことがある。

景色がよくみえる席に案内された。所長と向かい合わせに座る。

「むつみさん、コースでいいですか? あと飲み物は?」

「コースでいいです。あとはビールで」

「わかりました。僕も同じものにしよう」

所長が店員の人に声をかけ、注文してくれた。

目の前の柔かな照明に照らされた所長の姿に胸が高鳴る。

「無理につきあってもらってすみません」

「いえ、時間がありましたから」