恋愛事案は内密に

「ええ、まあ」

「別にいいんですけど。さて、むつみさんの行きたい場所ありますか?」

「……特にないんですけど」

「じゃあ、ぶらっとしますか」

「え、所長は時間いいんですか?」

所長は急に立ち止まったので、私だけが数歩先に進んでしまった。

あわてて後ろを振り返る。

所長は真顔だった。

「むつみさん、忠告いいですか」

「あ、はい」

「プライベートなんで所長って呼び方なしにしてもらっていいですか」

「……五十嵐さんと呼べばいいんでしょうか」

「それでいいですよ」

所長は納得したようでニコリと歯をみせ、笑みをこぼしている。

五十嵐さんなんて呼ぶなんて少し恥ずかしい。