恋愛事案は内密に

「ごめん、用事が入った。まさかこんな時間に来るなんて」

スマホの画面を見ながら北野さんは神妙な面持ちになった。

ぐいっとコーヒーを飲み干すと、カバンを持って立ちあがった。

「むつみちゃん、このあと空いてる?」

「ええ、まあ」

「じゃあ、話は早いわ。五十嵐くんのこと、よろしく」

「えっ!?」

そういうと、所長を置いて北野さんは行ってしまった。

「あ、あの……」

「そういうことです」

所長はうなずくと、優雅にコーヒーを飲んでいた。

「え、どうすれば?」

「付き合ってもらえませんか?」

コーヒーカップを静かに皿へ戻した。

所長はわたしに真剣なまなざしを送っている。