恋愛事案は内密に

自分の家のドアを閉めたとき、一気に力が抜けた。

長かった1週間。仕事も人間関係もまだまだダメだな、と反省する。

悪いこと、いっちゃったかな。

何で所長のことばかり考えてしまうんだろう。

27歳で所長ってかなりのやり手なんだろうけど、そういうそぶりも見せない。

下手したら後輩にすら見えてしまう。

やさしく声をかけてくれるんだけど、あの目が私の心をとらえている。

ダメだ。あんなカッコいい所長が私みたいな人のことなんか想うはずはない。

私の思いすごしだ。

でも、大和とは違う。

大和のときは、大和がぐいぐいと攻めてきたように思う。

気がつけば好きになっていたところで、大和が冷めていった。

所長のような鋭い目はしていなかった。

所長は年下の彼女がいて、ああいう目をするんだろうか。

何を考えているんだろう。さっきから所長のことばかりじゃないか。

気を抜くとどうしてもあの所長の顔が浮かぶ。

カーテンのすきまからのぞむ街灯に照らされた窓ガラスには幾筋の雨が流れていた。