恋愛事案は内密に

「お疲れ様です。あれ、むつみさん」

「あ、所長。お疲れ様です」

所長は照れた表情で自分の席につく。

「珍しいですね、この時間にここにいるなんて」

「いちゃ、悪いですか」

所長はむすっとしながら机の上のコピー資料を確認していた。

「いや、めずらしいなって思いまして」

「先方から資料提供してほしいっていう書類、もう一部欲しいって言われてしまって」

「そうでしたか」

「北野さんも悪気があってああいった雰囲気を出したわけじゃないんですからね」

「ええ、わかっていますよ。大人ですから」

「……副所長、朝出勤したとき嬉しそうでしたけどね」

資料から目をこちらに向けた。

やわらかなまなざしにどきっとした。