恋愛事案は内密に

「北野さんに怒られたんでしょ」

分厚いカタログを開いて型式をチェックしていたら、高清水さんに話しかけられた。

「……はい」

「やっぱり」

高清水さんはキーボードをたたくのをやめて、こちらに顔をむけた。

「あたしも入ったときによかったらと思ってお菓子とかコーヒーとか出してたけど、余計なことするなって怒られたことがあって」

「そうでしたか」

「まあ、気にすることじゃないんじゃないかな。それ以外の仕事に関しては厳しいけどやさしい所があるし」

「気をつけます」

北野さんのあの顔は以前いた会社の先輩の顔に似ていた。

大和と付き合うようになったときに見せた、あの嫉妬めいた顔だった。