「むつみさんっ!」
少し走ってきたのだろうか。息をきらしていた。
「所長、お疲れ様です」
「お疲れ様です。間に合ってよかったです」
所長は安心しているのか、にっこりとした笑顔をみせた。
「えっ?」
「早く帰ってこないと、むつみさんに会えないですからね」
翳りのない瞳でそんな言葉をくれるなんて。
一瞬どきんとしたけれど、誰にでも言っているのかなと思った瞬間、すぐに会社人間モードに頭が切り替わる。
「そういえば、所長、コーヒー好きですか?」
「好きですよ」
「よかった。机の上にインスタントで申し訳ないのですが、コーヒー置いておきましたので、よかったら飲んでください」
「え、僕にですか!? ありがとうございますっ!」
頭をかきながら、無邪気な笑顔でこたえてくれた。
「これで後の仕事もはかどりそうです。うれしいな」
「それじゃあ、私はこれで」
軽くおじぎをし、玄関の自動ドアをくぐる。
傘を差し駅方面へ歩き出す。
視線を感じたので振り返るとガラス窓の向こうにずっと所長が立ちつくし、こちらをじっと見ていた。
いつも私を見るような目とは明らかに違った、何かをとらえようとする目だった。
少し走ってきたのだろうか。息をきらしていた。
「所長、お疲れ様です」
「お疲れ様です。間に合ってよかったです」
所長は安心しているのか、にっこりとした笑顔をみせた。
「えっ?」
「早く帰ってこないと、むつみさんに会えないですからね」
翳りのない瞳でそんな言葉をくれるなんて。
一瞬どきんとしたけれど、誰にでも言っているのかなと思った瞬間、すぐに会社人間モードに頭が切り替わる。
「そういえば、所長、コーヒー好きですか?」
「好きですよ」
「よかった。机の上にインスタントで申し訳ないのですが、コーヒー置いておきましたので、よかったら飲んでください」
「え、僕にですか!? ありがとうございますっ!」
頭をかきながら、無邪気な笑顔でこたえてくれた。
「これで後の仕事もはかどりそうです。うれしいな」
「それじゃあ、私はこれで」
軽くおじぎをし、玄関の自動ドアをくぐる。
傘を差し駅方面へ歩き出す。
視線を感じたので振り返るとガラス窓の向こうにずっと所長が立ちつくし、こちらをじっと見ていた。
いつも私を見るような目とは明らかに違った、何かをとらえようとする目だった。

