恋愛事案は内密に

「え、そ、そう?」

「まあ、どうでもいいことですけどね」

そういうと、高清水さんは目線をこちらからパソコンに戻し、仕事を進めていた。

買ってきたアイスティーを口にする。

確かアイスティーを買ったのは大和とランチをコーヒーチェーンで頼んだ時に同じものにしたんだったと思い返した。

まだ覚えきれない型式カタログを見つつ、北野さんから随一送られてくるメール対応に追われ、気づけば5時をまわっていた。

「高清水さん、お願いします」

勤務表を渡し、高清水さんに確認印を押してもらった。

「……森園さん、ごちそうさまでした」

「かえって気を使わせてしまって。今日のデータ入力も本当にありがとうございました」

「仕事だから。お疲れ様でした」

いつもの高清水さんに戻ったのを見届けて、タイムカードを押して事務室を出る。

仕事を終え、着替えて会社を出る。

じめっとした空気がビルの中まで充満し、せっかくの洋服が湿っぽくなりそうで嫌になった。

エレベーターに乗り、一階に降りる。

ロビーを抜け、正面玄関の自動ドアをくぐろうとしたとき、黒い傘を差した男性がこちらに近づいていた。

傘を閉じ、ロビーの中に入ってきた。