恋愛事案は内密に

エレベーターを降りて、玄関ロビーにいく。

背広の人が近づいているのがみえる。

目が合う。

所長がこちらに向かっていたところだった。

ロビーの真ん中で立ち止まった。

「お疲れ様です」

少し息をきらせているらしく、少し咳払いをして呼吸を整えた。

「よかった。会えて」

「えっ」

少し疲れた顔をしていたけれど、朝と同じようなやさしいまなざしに少し心が騒ぐ。

「朝渡そうかと思ったんですけど、なかなか言う機会がなくって」

そういうと、ニコリと微笑みかけてくれた。

「森園さん、これ」

カバンから取り出し、手のひらにのっかっているのは銀色に光るネックレスだった。

「所長が何故、持ってるんですか」

「トイレの入口の廊下で落ちてたのを拾ったんですけど」

「捨ててくれても、よかったんですけど」

「だってこれ、けっこう高そうじゃないですか」

「捨てていいですから」

「……わかりました」