恋愛事案は内密に

何やらよくわからない気持ちを心に残しつつ、ロッカー室に向かう。

ロッカーの中の小さな鏡をのぞきこむ。汗と雨で化粧が崩れていた。

そんな顔で所長と話をしていたとは。

雨でまとわりつく洋服をなんとか脱いで制服に着替え、湿気た髪の毛をくしで整え、バレッタでとめる。

化粧も直して仕事の仮面をつける。

ふう、と自分に気合を入れ、ロッカー室から事務室へ向かう。

「おはようございます」

すでに三人は席についていた。

「おはようございます」

三人とも同時期にあいさつをかえしてもらった。

急いでタイムレコーダーを押し、席につく。

9時になり、簡単な朝礼をする。

昨日より所長の顔が清々しく見えるのは気のせいか。

「ということで今日から副所長のサポートをお願いしますね」

向かいに座る副所長の北野さんがニコリとほほ笑んだ。

「よろしくね。むつみちゃん」

「よろしくお願いします」

クリーム色のパンツスーツがよく似合う。凛とした顔が美しい。

「わからないことがあったらいつでも質問して」

「はい」

「それでは、今日もよろしくお願いします。僕は一日外ですが、副所長は」

「今日は一日事務処理をします」

「わかりました。それではよろしくお願いします」

挨拶が終わり、所長は書類の準備が済むと、事務室から出ていく。

扉を開けるとき、ぱちっと目があった。

所長は甘い笑顔で返してくれた。