恋愛事案は内密に

一人はスーツ、一人はきれいなジャケットを着た男女が隣のレジに並んでいた。

顔を見合せながら、今日はオレがメシ作るからな、と息まき、それを女性がほほえましい目でみていた。

部屋に戻り、適当に夕飯を作る。

味気のないご飯を飲み込み、半額で買ったオレンジを切り、かぶりついた。

熟されたオレンジは甘みが強く、口いっぱいに広がる。

外見はよくないけれど、中身はもっと熟されておいしいのに。

指をオレンジの果汁でべとつかせながら、オレンジを頬張った。

今頃、大和は何をしてるんだろう。

営業サポートの子と夕飯を楽しんでいるんだろうか。

涙が出るまえに、テーブルに置いておいたビールのプルタブを開け、一気に喉に流し込んだ。

今度は苦みと炭酸がノドを通り、嫌な思い出もすっきり、とはいかないが、爽快さで押しきれた感じだ。

もう大和のことは思い出さないようにしよう。

今は仕事が一番だ。与えられた仕事をまっとうするのみだ。