恋愛事案は内密に

仕事帰りはいつも大和の好きなものをつくろうとして、帰りによく家の近所のスーパーに立ち寄っていた。

今日は魚の煮物にしようか、ボリュームのある肉料理にしようか。

残業で疲れていたのに、スーパーへいって食材を見ると、俄然チカラがみなぎっていた。

大和がマンションへかけつけてくれて、あたたかな夕飯を囲むだけでも幸せなひとときだった。

そのあとのお楽しみも充分楽しんだのだけれど。

夕食の買い出しをしに、スーパーへ向かう。

もう大和の好物をつくらなくてもいい。

自分の好きなものをつくって食べるだけだ。

生鮮食品売り場の隅に特設コーナーがあった。

どれもまだ新鮮なのだが、少しだけ傷があったり、しおれていて半額のシールが貼られて転がっていた。

その場から動けなくなる。

どれも新鮮だったはずだ。

私も同じなのかもしれない。

あんなに新鮮だった毎日が、擦り切れ、傷がつき、じゅくじゅくと痛んできている。

苦しくなり、目の前にあったオレンジをカゴに入れた。

あとは野菜や肉、魚と缶ビールをカゴに入れ、レジに向かう。