恋愛事案は内密に

「森園さん……、お疲れ様でした」

少しはにかみながら認印を押してもらい、返すとまたパソコン画面に視線を戻した。

ロッカー室に入り、自分のロッカーを開け、洋服に着替える。カバンの中から無地のTシャツを出し、今朝着ていた服をカバンに詰め込む。

スカートは湿気を吸い込んでジメジメしていたが、少し乾いていたのでそのまま履いて身支度を整えた。

「森園さん」

1階ロビーに降りたときだ。エレベーターの扉が開くと、疲れた表情の所長が立っていた。

「所長、お疲れ様です」

「あ、お、お疲れ様です」

「あ、エレベーターが……」

エレベーターの扉が閉まり、上階へあがってしまった。

「すみません、邪魔してしまって」

「い、いいえ。いいんですよ」

ボタンを押そうとしたとき、所長の細く長い指が軽く触れた。

「あ、ごめんなさい」