恋愛事案は内密に

「結構です。所長にも副所長にも帰っていただくように指示されていますから」

まるでロボットのように心のこもらない言葉をすらすらと、こちらに見向きもせずにパソコンへ話しかけている。

「わかりました。お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」

「お疲れ様でした」

カチャンとタイムレコーダーを打ち、事務室を抜け、支店を出る。

エレベーターホールでエレベーターを待つ。

自分の溜め息とともに、チンとエレベーターの扉が開くと、所長が中から出てきた。

「あ、森園さん」

開いた瞬間、少しくたびれかけていた顔が、目がランランと輝き、声が少しうわずっていた。

「所長、お疲れ様です」

「そっか、もうあがり時間でしたね」

「はい」

「もうちょっと早く帰ってきたかったんですけど、取引先で立て込んでて」

「あ、はい……」

「森園さんにはいろいろ聞きたいんですよ」