恋愛事案は内密に

日曜、むつみさんと一緒に喫茶店へいき、紳士服屋へスーツをとりにいくつもりでいたのに。

まさか、観覧車に乗るなんて。

観覧車にはいい思い出がない。

付き合っていた人も観覧車が好きだった。

あのときも無理やり乗せられて風に揺れる観覧車の中で二人っきりになった。

キスでもせがむのかと思っていたら、付き合っていた人はずっとうつむいている。

どんどん上へのぼっていくのに、外の風景など楽しんでいる気配はなかった。

ようやく一番上にたどりついたとき、一言、ぽつりと付き合っていた人が言う。

まさか観覧車の中で別れを切り出されるとは思ってもみなかった。

だから観覧車は苦手だ。

風にあおられて揺れるのも好きではないが。

むつみさんとなら克服できると思っていた。

でも、やっぱり苦手だ。

むつみさんはどこかぼんやりと別の場所に目をむけているようで、一人観覧車の中に取り残されたようでつらかった。