恋愛事案は内密に

むつみさんとロビーで会ったときに、試作室の掃除をしたとの報告をもらった。

本当は僕が掃除をしたほうがいいのだけれど、どうしても営業から帰ってきてからだとそのあとの見積書だったり注文書だったりの作成があったりしてなかなか試作室へいけなかった。

電話応対の研修について不安だったけれど、日曜にまた一緒にでかけることを告げるとむつみさんは顔をほころばせていた。

会社に戻ると、高清水さんがパソコン越しに話しかけてきた。

「所長、試作室の部屋の掃除、森園さんにお願いしました」

「鍵の管理はどうかな」

「返しているところ、見ました」

「そうですか」

書類棚の後ろにある鍵をチェックする。

試作室の鍵はちゃんとかかっており、なくなっていないことを確認した。

外部に出してはいけない書類がある試作室だけに鍵の扱いは丁寧に行わなければならない。

「一応チェックしておくか」

試作室の鍵をとり、試作室の中へと入る。

特別変わったことはなかった。

同じ仕事をしているとしても一応むつみさんは派遣の身であるので試作室の内容までは把握できていないんだろうと思っていた。