恋愛事案は内密に

鍵を取り出そうとカバンの中をまさぐると、ひんやりとした感触が指に伝わる。

カバンの中をみると、しまったままの銀色のネックレスがある。

そろそろ帰さないといけないな。

少し疲れた表情を浮かべていた彼女に声をかけた。

「森園さん、これ」

手の中にある銀色のネックレスを凝視している。

「捨てていいですから」

力をなくしたような目で僕をみていた。これをどう処分してもいいなら、とひらめいたことがあった。

帰る彼女を追いかけた。

「……むつみさん、って呼んでもいいですか?」

彼女は目を丸くしている。

すぐに目を細めて笑ってくれた。

「いいですよ。以前いた会社でも上司からむつみって言われてますし、副所長の北野さんもむつみちゃんって呼ばれてますから」

うれしかった。

これで一歩彼女に近づけたような気がしてきた。

銀色のネックレスは僕らのかけ橋なのかもしれない。