恋愛事案は内密に

「ああ、同僚の子でしょ。付き合ってたよ。でもね、むつみが来る前の話。困るよな。勝手に恋人宣言みたいで」

「ホント?」

「ああ、ホントだよ。別れて正解。だって、むつみが一番かわいいよ」

「うれしい……」

「むつみ、お前だけだよ」

「……大和」

その日は熱帯夜でいつまでも皮膚から熱が逃げていかなかった。

それでも嫉妬深い女の先輩は業務に支障の出ない範囲内でわざと大げさに無視をした。

他の同僚もあの先輩、別の子にも嫌がらせしてるから放っておきなと言ってくれただけまだましだった。

「今日はさ、ちょっと仕事で抜けられないんだよね」

そう大和が口にしだしたのは、入社5年目のことだった。

仕事も順調にこなし、大和ともしかしたらこの先の未来が見えるかもと自信がついていた頃だ。

わたしは別の営業サポートに移されていた。

大和にサポート役としてついた分厚い眼鏡に少しボサボサな髪型をなんとか後ろで一つにしばっていた子。

しゃべるときも声が小さく、震えながら話すしぐさに男知らないんじゃないの? という噂も同時に流れてきていた。

少しずつ彼女が変化していくのを目の当たりにする。

髪の毛は縮毛矯正されまっすぐきれいに整えられた黒髪に、メガネをやめコンタクトにかえ、ほんのりチークをつけ、くちびるには控えめにグロスが塗られている。

いいオンナになったよな、なんていう声が男性社員の昼休みでしばしば確認できた。

それからしばらくして、大和がその後輩女子とつきあってるという話を聞く。