「森園むつみって、オレが営業してた会社の子じゃん」
栗林さんが神妙な顔をして言う。
営業会議が本社で行われ、終わり際に駒形さんと栗林さんに残ってもらい、森園さんを採用したことを報告したときだった。
「そうなのか」
駒形さんは冷静に聞いている。
「知り合いでライバル社にヘッドハンティングされるという話が出ていて。その知り合いと森園むつみは以前交際してました」
森園さんがその人と付き合っていたなんて。
もしかしてあのバーにそいつがいて何かがあって、森園さんが倒れていたとき体を起こした際にみた顔には、目じりに涙がにじんでいたのか。
「もしかしたらその知り合いとやらの情報、彼女なら知り得てるのかもしれないな」
刺激的すぎるアイデアが浮かんだ。
「彼女をオトリにライバル会社の情報を集めましょうか」
「何言ってる、五十嵐」
「駒形さんだと露骨すぎるし、栗林さんだって森園むつみのこと知ってるでしょう。僕は彼女のことを何も知らない」
「だからって、危険すぎるし、彼女のことはどうなるんだ」
「……なんとかします」
「何とかするっていったって。彼女だって仕事のために五十嵐と付き合うとか考えたらどうなるかわかってるんだろう」
「ちゃんとフォローはします」
駒形さんも栗林さんも難色をしめしていた。
彼女を裏切るような接し方だけれど、少しでもむつみさんと近づきたかった。
もしダメだったら仕事のせいと理由づけができる。
理想の女性をみつけた。
想い描いていた女性だった。
ずっと心の中にくすぶっている想いから抜け出させる。
最初は仕事の気持ちだったけれど、最後はむつみさんのためだ。
栗林さんが神妙な顔をして言う。
営業会議が本社で行われ、終わり際に駒形さんと栗林さんに残ってもらい、森園さんを採用したことを報告したときだった。
「そうなのか」
駒形さんは冷静に聞いている。
「知り合いでライバル社にヘッドハンティングされるという話が出ていて。その知り合いと森園むつみは以前交際してました」
森園さんがその人と付き合っていたなんて。
もしかしてあのバーにそいつがいて何かがあって、森園さんが倒れていたとき体を起こした際にみた顔には、目じりに涙がにじんでいたのか。
「もしかしたらその知り合いとやらの情報、彼女なら知り得てるのかもしれないな」
刺激的すぎるアイデアが浮かんだ。
「彼女をオトリにライバル会社の情報を集めましょうか」
「何言ってる、五十嵐」
「駒形さんだと露骨すぎるし、栗林さんだって森園むつみのこと知ってるでしょう。僕は彼女のことを何も知らない」
「だからって、危険すぎるし、彼女のことはどうなるんだ」
「……なんとかします」
「何とかするっていったって。彼女だって仕事のために五十嵐と付き合うとか考えたらどうなるかわかってるんだろう」
「ちゃんとフォローはします」
駒形さんも栗林さんも難色をしめしていた。
彼女を裏切るような接し方だけれど、少しでもむつみさんと近づきたかった。
もしダメだったら仕事のせいと理由づけができる。
理想の女性をみつけた。
想い描いていた女性だった。
ずっと心の中にくすぶっている想いから抜け出させる。
最初は仕事の気持ちだったけれど、最後はむつみさんのためだ。

