恋愛事案は内密に

「今さらですが、大声で叫んでもこの部屋は防音設備が整っているので外には届かない。意味、わかりますよね」

所長は私の体にまたがると、覆いかぶさった。

鋭い視線が心に突き刺さり、動けなくなる。

所長の顔が近づくと、顎を持ちあげられた。

「ん……んっ」

熱い唇が容赦なくおしつけられる。

あの時のかわした愛情が注がれるようなキスではなく、つらい気持ちを包んだキスだ。

「むつみさんが、いけないんだ」

所長は舌舐めずりをしながら、私をにらんだ。

「……こういう気持ちにさせる、むつみさんが」

吐息交じりに発せられる言葉が胸にささって苦しい。

「僕ははじめて会ったときからむつみさんのことを好きでいた。なのに」

「こんな私でいいのかって自信がなかった。だから」

「したたかですね」

再度、唇をおしあてられる。

抵抗しようと首を振っても大きな手で支えられて動けなかった。

ネクタイで縛られているよりも唇がキスに耐えきれなくてしびれてきた。

こんなたくさんのキスをしたことなんて今までなかった。

どれぐらいの時間が過ぎているのかよくわからなくて、頭がぼおっとなってきたところでようやく唇を離してくれた。