恋愛事案は内密に

「失恋したから私に切り替えたんですか?」

「確かに失恋したことで気持ちの整理がつかなかったこともありました。むつみさんにぶつけることができれば、清算できると。でも違った」

所長は私をまっすぐ見つめ、初めて会った頃のような笑みをこぼす。

「宝物を見つけた。そんな気持ちになった」

「宝物、ですか」

「むつみさんは純粋な原石だった。僕と出会って輝いていく」

所長と会うだけで身も心も代謝がよくなって新しく生まれ変わらせてくれた。

「計画を実行中止しようと思った。でも、ずっと忘れない向井さんの気持ちを放す、いいきっかけだと思った」

「おかげで大和の気持ちがわかったし、覚めることができましたけど」

「一番は見えない鎖をむつみさんから解いてあげたかった。そうすれば、心おきなく僕との関係も深まる」

私から大和を切り離すためにわざと計画を組んで実行にうつしたというのか。