恋愛事案は内密に

ポツンと一人、カバンからお弁当とカップを取り出す。

お弁当をあたために、節約のため消された薄暗い廊下を通り、事務室と試作室の間にある給湯室に向かう。

人が2人並ぶと窮屈な小さな給湯室にはシンクはもちろん、電子レンジも電気ポットも冷蔵庫も完備していて快適なはずなのに。

温まった弁当とお茶を入れ、いざ事務室に戻ると、誰もいない静かでなんだか心細くなってきた。

遊びでこちらに来ているわけではないとわかっているけれど。

味気ない弁当を食べ、片づける。

とくに電話も鳴ることもなく、インターネットブラウザを開き、ニュースサイトで今の政治経済やエンタメ情報までさらりと読んだ。

何を思ったか、おもむろに検索バーへ以前の会社の名を入力して、検索をかける。

数秒で一番上に出てくる。

クリックし、人材育成についてのメニューバーをさらにクリックすると、営業の代表として大和の画像が出てきた。

いつも笑顔だったなと思い出に浸り、そっとページを閉じた。

やっぱり机の隅にある電話帳並みのカタログに目がいってしまう。

以前の会社でも同じような型式を扱っていたとはいえ、分厚いカタログをめくってもめくっても同じような部品で同じような型式番号だとだんだん飽きてしまっている自分がいた。

カタログから目を離し、窓からのぞむと青空はなく、どんよりと曇っていた。

ふんわりと緑茶の香りがひろがる。

目の前の少し茶渋のついたベージュのカップにお茶に目をやる。

これをくれたのは大和だった。