「ちょっと、森園さん、手とめないで」
「あ、すみません」
高清水さんの激で現実に戻る。
昨日の心の痕跡が心の中に残ったままで仕事に身が入らない。
さらに郡司さんとの面談で余計いつもより仕事のペースが遅くなっていた。
「この仕事は早く提出しなくちゃいけないんで、あたしがやりますから」
といって、手に持っていた書類を高清水さんが奪うようにして持って作業していた。
定時になり、いつものように勤務表に時刻を記入し、高清水さんに確認印を押してもらう。
「お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいよ。明日もありますから」
「わかりました。ありがとうございます。お先に失礼します」
元気に言ったつもりが小さくかすれた声が出ていた。
ゆっくりと事務室のドアを閉め、廊下を通り、ロッカーに行き着替えた。
まだ体には所長につけられた無数の跡が残っている。
この跡が消える頃には所長のことを忘れて普通の社員として働けるのだろうか。
着替えを済まし、会社を出てエレベーターに乗る。
降りて所長に出会ったらちゃんと言えるだろうか。
エレベーターが1階に到着し、扉が開いた。
エレベーターを降りると、背広の人が近づいていた。
所長ではなかった。別の階で働いているであろう男性が来て、あとを追うようにグレーのスーツを着た若い女性が一緒にエレベーターに乗り込んでいった。
扉が閉まるとき、互いの顔を見合わせてにっこり笑っていた。
あの笑顔は仕事で見せる笑顔ではないな、と少しだけうらやましく思った。
ビルを出て、駅方面へ行く人達の群れの中に入って歩き出す。
「あ、すみません」
高清水さんの激で現実に戻る。
昨日の心の痕跡が心の中に残ったままで仕事に身が入らない。
さらに郡司さんとの面談で余計いつもより仕事のペースが遅くなっていた。
「この仕事は早く提出しなくちゃいけないんで、あたしがやりますから」
といって、手に持っていた書類を高清水さんが奪うようにして持って作業していた。
定時になり、いつものように勤務表に時刻を記入し、高清水さんに確認印を押してもらう。
「お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいよ。明日もありますから」
「わかりました。ありがとうございます。お先に失礼します」
元気に言ったつもりが小さくかすれた声が出ていた。
ゆっくりと事務室のドアを閉め、廊下を通り、ロッカーに行き着替えた。
まだ体には所長につけられた無数の跡が残っている。
この跡が消える頃には所長のことを忘れて普通の社員として働けるのだろうか。
着替えを済まし、会社を出てエレベーターに乗る。
降りて所長に出会ったらちゃんと言えるだろうか。
エレベーターが1階に到着し、扉が開いた。
エレベーターを降りると、背広の人が近づいていた。
所長ではなかった。別の階で働いているであろう男性が来て、あとを追うようにグレーのスーツを着た若い女性が一緒にエレベーターに乗り込んでいった。
扉が閉まるとき、互いの顔を見合わせてにっこり笑っていた。
あの笑顔は仕事で見せる笑顔ではないな、と少しだけうらやましく思った。
ビルを出て、駅方面へ行く人達の群れの中に入って歩き出す。

