恋愛事案は内密に

「郡司さん、もしかして最初からわかっていたんですか?」

「何を、ですか?」

郡司さんは首から汗を流していて、急いで持っていたハンカチでぬぐう。

「私が以前いた会社のこと、この会社のことも。もしかして所長の意向とか」

「こちらの会社は大事な取引先ですから。森園さんも含めスタッフも大切な人材です」

動揺した様子はなくまっすぐ私を見て話をしてくれた。

「……そうですよね」

「で、何の相談でしたっけ」

「さすがに新しい仕事を紹介してもらう、なんてできませんよね。まだ自分の契約期間は続いているから」

「そうですけど。どうかしたんですか」

「会社の上司のこと、なんですけど。実は」

郡司さんは上半身を私に近づけ、目を見開いて私の話を聞こうとしてくれた。