恋愛事案は内密に

口調が高圧的で機械的で事務的だ。

営業先でもこんなしゃべり方をするんだろうか。

「どうやら鍵を握っていたのはあなたの元カレの向井大和さんでした」

「大和が」

「会社の繁栄のためにむつみさんの動向観察は必要でした」

「で、時が待って、このことを?」

「ええ、これが事実です」

「……そんな」

私が大和と付き合ってることを知ってわざと所長は近づいてきたってことなのか。

「じゃあ、この間のキスも、昨夜のことも」

「あなたが従順かどうかのテストをしたまでですよ」

眼鏡の所長はプライベートの所長ではなく、会社でおそらく営業で見せるであろう所長の真の部分なのだろう。

「私が試作室に入らなくても結局は私を使って何かをするってことだったんですね」

「ご想像におまかせしますよ」

「もう辞めます。こんなこと。会社も」

私は椅子から立ち上がる。

所長が何を言っても信じられなかった。

もうこの場所から立ち去りたい。