恋愛事案は内密に

「栗林さん、ご飯おごりますから」

一体何を言っているのか、よくわからない。

さっき駒形さんにつかまれた手首をさすった。

それを見た駒形さんが申し訳なさそうな顔をした。

「大丈夫だったか? 軽く押し倒したつもりだったけど」

「……え、ええ」

「ちゃんと五十嵐、後始末するんだぞ」

「わかっていますよ」

「……最初から、最初から私のことはめたんですか? 罠に」

「そういうつもりはない、って言ってほしいか?」

駒形さんが冷たくあしらった。

急に目頭があつくなった。

「泣かせないでくださいよ。駒形さんだって許しませんよ」

「五十嵐、さすがやり手は違うな」

軽く駒形さんは笑った。見かねて栗林さんが声をかける。

「冷たい奴だな。ちゃんとつなぎとめないと」

「ちゃんとフォローはしますから」

冷たい言い方をしながら所長は口元だけ笑っていた。